大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和33(オ)943 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士杉山賢三の上告理由第一点について。

しかし、本件土地の所有権移転登記手続の履行期その他につき何等の特約もなか

つたこと、しかるに控訴代理人は、原判示準備書面を判示のごとく誤記に気付かず

提出し、右誤記とは反対に特約のなかつた事実を立証せんとしていた旨の原判決の

事実認定は、挙示の証拠関係に照し肯認できないことはなく、従つて、その認定し

た事実関係の下において控訴人の判示自白は真実に反し且つ控訴代理人の錯誤に基

くものであるから右自白の取消は適法である旨の原判決の判断もこれを正当として

是認できる。されば、所論は結局原判決が適法になした証拠の取捨、判断ないし事

実の認定を非難するか、又は、独自の見解に基く法令違背の主張に帰し、採るを得

ない。

同第二点について。

しかし、所論甲主張の留置権については、原審で主張された形跡が認められない

から、この点について所論の違法は認められない。また、上告人が判示の理由によ

り本件売買契約を解除することができないとした原判示は(後記第三点についての

判断参照)、これを正当として是認しうるから、原判決には所論乙の違法も認めら

れない。

同第三点について。

しかし、上告人主張の特約がなかつたことは、論旨第一点について述べたとおり

であり、従つて、控訴人が被控訴人に対し本件土地の税金の立替金を支払う義務は

本件売買契約とは別個の法律関係から生じたものであつて、右義務の不履行を理由

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とする被控訴人の契約解除の意思表示はその効力がない旨の原判決の判断はこれを

正当として是認できる。されば、この点に対する所論は採るを得ないし、所論引用

の判例は本件に適切でない。その他事情変更の原則によつても本件契約を解除し得

ないとした原判決の判断も、すべて、これを正当として是認できるからこの点に対

する所論も採ることができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官の全員一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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